最近まで為替市場は異常な円安ドル高が続いていましたよね。
先日、日本銀行(以下、日銀)が1998年6月以来、
実に24年ぶりに円買い為替介入を行ったというニュースがありました。
マスコミでもかなり大々的に報道されていましたのでご存知の方もいるかと思います。
円買い為替介入とは?
具体的に何のためにどういったことを行ったのか?
意外に知らない人も多いかと思います。
簡単に説明すると「最近の急激な円安により輸入コストが高騰しています。
そのため海外から輸入している企業はかなりの打撃を受けており、
その影響で企業・家計も物価高に苦しんでいます。
そこでこの円安を食いとめるために日銀が外国為替市場で円を買ってドルを売る」
というオペレーションを実施したわけです。
実際、このオペレーションにより、
一時的にではありますが5円ほど円高ドル安になりました。
今回はこの日銀による円買いドル売りの為替介入について、
さらに具体的に解説したいと思います。
もし次回同じように日銀が円買い介入をした時に、
わかりやすく解説したこのページを思い出して下さいね!
円安ドル高のときに何が困るのか?
前提として、海外から原材料や製品を輸入している企業は、
取引を国際的通貨である米ドルで行うことが多いです。
そのため、円ドルの為替レートが非常に重要となってきます。
たとえば1ドル100円だった為替レートが、
1ドル200円まで円安ドル高になってしまったときを考えてみましょう。
ある輸入品が10ドルだったとすると、
1ドル100円の場合は日本円にすると1000円必要となります。
一方、1ドル200円だった場合には2000円必要となります。
円で考えると価格が2倍値上がりしたことになります。
そのため輸入企業としては、
コスト増になってしまい打撃を受けることになってしまうわけです。
ちなみに、1ドル100円だった為替レートが、
1ドル50円まで円高ドル安となった場合には、
先ほどとは逆に円で考えると価格が半分になりますので、
輸入企業としてはメリットになります。
なお、輸出企業の場合は輸入企業とは逆に円安ドル高になるとコストが減り、
円高ドル安になるとコストが増えることになります。
1ドル100円だった為替レートが1ドル200円になった場合、
一見すると円が高い(100円→200円)ように見えてしまいますが、
1ドルと交換するために今までより多くの日本円が必要になります。
つまり、円の価値が下がってしまうため円安と呼ばれます。
円買いドル売り為替介入とは具体的に何をしているのか?
為替介入とは、通貨当局が為替相場に影響を与えるために、
外国為替市場で通貨間の売買をすることです(今回の介入はドルを売って円を買った)。
日本では為替介入は財務大臣の権限で実施することになっています。
日銀は、財務大臣の代理人としてその指示に基づいて為替介入の業務を遂行しています。
為替介入は通貨間の売買ですので、
その遂行には円やドルなどの資金が必要になります(今回の介入ではドルが必要)。
このときの資金は財務省所管の
「外国為替資金特別会計(以下、外為特会)」を使っています。
今回のように円買いドル売りの場合には、
この外為特会の保有するドル資金を売って円を買い入れたことになります。
まとめ
何のために円買いドル売りを行ったのか?
また、そのオペレーションは具体的にどのように行われてきたのか?
簡潔にまとめてみました。
ご理解いただけましたでしょうか?
経済に関することは難しく、
また自分とは直接関係ないように思ってしまうこともあるかと思います。
しかし、実は自分たちの身近な生活と密接に関係していることも少なくありません。
そのため、これからは経済に関するニュースを耳にした場合、
それは自分の生活にどういう影響があるのか調べてみるのも良いかもしれません。